乾燥と炎症の季節に—
皮膚科専門医・金井田一子先生に聞く「乾癬とニキビ」

乾燥と炎症の季節に—<br>皮膚科専門医・金井田一子先生に聞く「乾癬とニキビ」

冬に向かい、乾燥や肌トラブルが増え始める季節になりました。

今回お話を伺ったのは、炎症性疾患やニキビ外来を専門に診療されている皮膚科専門医・金井田一子先生です。
スウェーデンで炎症性疾患の基礎研究に携わった経験もお持ちで、肌医療のスペシャリストとして活躍されています。


北欧で研究された「乾癬」

——遺伝が関わる炎症性疾患の現在地
金井田先生が若い頃に研究されていたのは、日本でも患者数が増えている乾癬(Psoriasis)です。
「症状にはニキビと同じく“炎症”が関わりますが、発症のメカニズムはまったく異なります」と先生は話します。
乾癬は遺伝要因が強く、北欧では患者数が多いことでも知られています。
先生は、遺伝子の特徴や疫学的背景を明らかにするため留学し、研究に取り組まれていました。
「当時は基礎研究が中心でしたが、現在は遺伝的知見を生かした外用薬や注射薬が実用化され、治療の選択肢が大きく増えています。日常診療でも症状を改善しやすくなっているのは、とても良いことだと思います」
乾癬は左右対称に症状が現れやすく、皮むけや厚みのある質感が特徴です。
重症化すると牡蠣殻のような外観になることもあり、見た目への悩みを抱えやすい疾患です。


ニキビ治療の基本は「シンプル」

——油分の多いスキンケアは逆効果に
石井クリニックには、ニキビでお悩みの方も多く来院されます。
まず大切なのは「ケアをシンプルに整えること」だと先生は語ります。
「ニキビができやすい方は皮脂分泌が多いため、油分の多いクリームは避けたほうが良いですね。さっぱりとしたローションや、外用薬を適切に使うことが大切です」
ニキビの患者さまの多くが「肌が乾燥している気がする」と話されます。
しかし、それが本当の乾燥なのか、もしくは炎症による皮むけなのかは、医師でないと判断が難しい場合があります。
逆に、油分を避けすぎても皮脂分泌が乱れることがあるため、自己流で調整するより、専門家の判断が重要だといいます。


冬の肌は「乾燥→炎症→痒み」へ移行しやすい

——早めの適切な保湿が鍵
乾燥を放置すると、痒みを伴う皮脂欠乏性湿疹へ進行することがあります。
「乾燥なのか、湿疹なのかを早期に見極めることが大切です」と先生は強調します。
「症状に合わせて保湿剤や炎症を抑える軟膏を処方しますので、我慢せず早めに相談いただきたいです」
冬は特に、自己判断を続けるより専門医のチェックを受けることが、肌トラブルを長引かせない近道になります。


石井クリニックでも人気

“前駆体型セラミド”という新しい保湿の選択肢
インタビューの終盤では、同院でも処方され、先日発売された「デュアルRCエマルジョンヴェール」についての話題になりました。
主成分である「スフィンゴ糖脂質(前駆体型セラミド)」は、肌の酵素によって不足している種類のセラミドへと変換される特性があります。
まるで“自分の肌専用にカスタマイズされるようなセラミド”。
「正しい保湿として非常に有効で、ニキビ肌の方にもおすすめできます」と先生は太鼓判を押します。
身近に肌の専門家がいることは、季節の変わり目の不安を和らげ、安心につながりますね。